top of page

プリントオンデマンドとは何か?個人利用から副業まで

プリントオンデマンド(POD)とは、注文が入ってから製品を印刷・製作し発送する仕組みです(無在庫販売)。従来のオフセット印刷のように大量在庫を抱える必要がなく、必要な分だけを必要なときにプリントする方式です。この仕組みにより在庫リスクが大幅に軽減でき、コスト削減や環境負荷の低減にもつながります。


PODの歴史をたどると、1990年代にデジタル印刷機が登場し、小ロット印刷が可能になったことが大きなきっかけです。日本でも1993年にゼロックス社のDocuTechが登場し、2000年代にはAmazonが書籍のPODサービスを始めるなど、従来は難しかった自費出版や小規模なオリジナル印刷が急速に普及しました。つまり、「必要なときに必要な数だけ印刷する」というPODの仕組みは、在庫・廃棄ロスを抑えつつユニークな商品を低リスクで提供できる点が評価され、出版からアパレル・グッズの分野へと広がっていきました。


プリントオンデマンドの仕組み

目次


  1. 日本の主要プリントオンデマンドプラットフォーム

  • 概要

    国内POD最大手の1つで、株式会社イメージ・マジックが運営。約1900種のアパレルや雑貨など豊富な商品ラインナップを揃えています。

  • メリット≈

    国内には最短2営業日で発送するなど納期が早く、1枚から小ロットでも安価に注文できる点が魅力。BASEなど大手ECサイトとの連携機能があり、商品が売れると注文情報が自動送信される(BASEなどとPODをつなげられる)仕組みも整っています。デザイン作成ツールも充実し、初心者でも気軽にオリジナル制作が可能です。

  • デメリット

    海外発送には対応しておらず、販売エリアは日本国内に限られます。また、BASEとの連携注文は自動完了せず、受注後に手動で発注する必要があります。

  • 収益性

    Tシャツ等の利益率は概ね20〜30%程度とされており、売価と生地原価の差額で稼ぎます。オリジナルプリントプリントは原価(製造コスト)が比較的抑えられるため、同価格帯であれば相対的に利益が取りやすい傾向です。

  • 初期費用

    会員登録や利用料は無料で、注文時に費用を支払う方式です。


  • 概要

    GMOペパボ社が運営するPODマーケットプレイス。2025年時点でクリエイター登録者数80万人以上、50種類以上のアイテムを扱います。Tシャツやスマホケース、雑貨、アパレル、飲料容器、布製品、文具など多彩なオリジナルグッズを作成・販売できます。

  • メリット

    初期費用・月額無料で始められ、在庫リスクなしでビジネスが可能です。スマホアプリもあり、いつでもどこでもデザイン・出品ができる手軽さが魅力。SUZURI上がマーケットプレイスにもなっており、SNS連携も豊富です。2018年からInstagramショッピングに対応し、公式でもInstagramやTwitterでのプロモーションに力を入れてきました。多くのクリエイターがSNSで宣伝を行い、実際にInstagram経由の流入は5倍に急増するなど、SNS集客に強い仕組みです。

  • デメリット

    販売手数料(販売価格に対して5.6%+22円)がやや高く、利益率は低めです。またSUZURI自体は顧客を集めるプラットフォームを提供するのみで、集客は基本的にクリエイター自身がSNSなどで行う(どこも一緒ですか)必要があります。競合クリエイターが非常に多いため、自身の作品を目立たせる工夫も欠かせません。

  • 収益性

    先の例ではTシャツ売価3,500円で約706円の利益(利益率20%)とされ、通常の印刷会社と比べて利益は低めになります。設定価格次第ですが、一般的なPODでは20~30%が目安です。

  • 発送拠点

    国内印刷拠点を中心に、佐川急便・ヤマト運輸で3~10日で発送されます。送料はヤマト通常便で約780円、ネコポス(小物向け)で約395円。Tシャツ1枚のみなら専用の“Tシャツ便”で送料370円に抑えられる場合もあります。海外発送はSUZURI直営では未対応ですが、「WorldShopping」「転送コム」などの越境EC転送サービスを介せば対応可能です。


  1. 海外PODプラットフォーム(日本から利用可能)

  • 概要

    アメリカ発の大手PODサービス(2013年創業)。世界12か所に自社工場や提携施設があり、日本にも2拠点を持ちます。アパレルを中心に取扱商品380点以上と非常に豊富で、ポスター・インテリア雑貨・アクセサリーなども幅広く揃っています。DTGプリントや刺繍・彫刻・昇華転写など多彩な加工方法に対応。

  • メリット

    商品の品質が安定して高く、特に刺繍クオリティも評価されています。英語サイトですが、日本語対応もしており日本向けに迅速な発送ルートも整備済み、日本国内なら4~9営業日で配送(送料:1点目520円、2点目以降170円程度)です。ShopifyやWooCommerce、Etsyなど主要ECプラットフォームとの連携が容易で、専用デザインツール(モックアップ作成)や初心者向けガイドも充実しています。大口注文は割引が適用され、オリジナルタグ・カスタム梱包(ステッカーやブランドカード封入)にも対応し、ブランディング機能が優れています。

  • デメリット

    海外拠点からの発送が基本のため、届くまで長いです。注文やデザイン管理は英語中心です。また、マーケットプレイス機能はなく、顧客獲得は自前の販路(SNS広告やSEOなど)が必要です。

  • 収益性

    日本POD同様に利益率は20~30%程度が目安ですが、送料分を加味するとやや目減りする可能性があります。

  • 初期費用:無料。

  • 発送拠点

    世界12か所(米国、欧州、メキシコ、日本など)に工場があり、国内発送にも対応(日本拠点から国内へ速達)。海外発送も可。一般的に最寄り拠点から現地出荷する仕組みです。


  • 概要

    ノルウェー発のPODプラットフォーム。世界32か国に140社以上の印刷パートナーがあり、世界最大級のオンデマンド印刷ネットワークを誇ります。高品質なウォールアート(ジクレー印刷)やTシャツを中心に、アパレル25ブランドを含む豊富な商品展開があります。

  • メリット

    注文者に近い拠点で現地生産する仕組み(90%以上の注文が5日以内に発送)のため、発送が早くコストも抑えやすい点が魅力です。利用は無料で、注文分のみの支払い。ShopifyやEtsyなど主要ECとのワンクリック連携にも対応し、初心者でもスピーディに販売開始できます。日本語サイト・日本語サポートも提供され、ユーザビリティが高いのも特長です。有料プランでは商品割引やカスタム梱包の特典もあります(ブランドカード封入など)。

  • デメリット

    Printfulと比べると日本拠点がないため、日本への発送は海外拠点からとなり、送料や納期は拠点によります。また、取扱商品数はPrintfulほど多くありません(特にアパレル以外の雑貨類はやや少なめ)。マーケットプレイス機能はなく、集客は別途販路構築が必要です。

  • 収益性

    Printful同様、利益率は20~30%前後を見込めますshopify.com

  • 初期費用:無料。

  • 発送拠点

    32か国に印刷パートナーを持ち、顧客に最寄りの拠点から発送。国内発送は日本に提携工場がないため不可ですが、近隣諸国からの配送で比較的速い対応が期待できます。海外発送は世界中対応(注文時に自動で最適拠点から出荷)。


  1. 初心者向けモデルと経験者向け戦略の違い

初心者向けには、初期投資ゼロでリスクを抑えられるサービスがおすすめです。日本では特にSUZURIがおすすめかもしれません。PCがなくてもスマホ1つで手軽にグッズ制作・販売を始められるのはかなり魅力です。SNSでの拡散にも適したプラットフォームで、自分の作品をフォロワーに直接売り込むことができます。OriginalPrintもBASE連携によりネットショップ運営が容易で、納期が速く初心者には安心感があります。いずれも在庫不要なので、売れなかった分の損失を心配せず、まずは少量からトライアルできます。


経験者向けには、より自由度の高い運用が可能な自社サイト+多拠点POD連携モデルが適します。例えばShopifyなど独自ECサイトを構築し、PrintfulやGelatoと連携すれば、海外市場も含めた大規模展開も視野に入れられます。これらはブランディング機能(オリジナルタグ・カスタム梱包)も充実しており、クリエイティブと顧客体験に投資することで高付加価値化が図れます。経験者は複数PODを使い分けたり、SNS広告やSEOに資源を投入して集客したりする一方、POSシステムで販売管理を一元化するなど効率化も図れます。


プリントオンデマンドでTシャツを自作する女性

  1. プリントオンデマンドでめざす“夢”と展望

プリントオンデマンドは在庫ゼロで自分ブランドを創出できる、比較的新しいビジネスモデルです。市場規模は急速に拡大しており、米国のカスタムTシャツ市場は2022年に約5,000億円規模と推計され、10年で倍以上の1.2兆円に成長すると予測されています。日本市場も現在約500億円と言われ、今後10年で1200億円超に成長する見通しです。


このような成長背景には、オンライン販売の普及やSDGs意識の高まり、無駄在庫を排除するビジネスモデルの魅力があります。個人クリエイターにとっては、自分のアイデアを形にして世界中に売るチャンスです。SNSでファンを獲得し、マニアックな趣味や特技を題材にしたニッチ商品でも固定ファンがいれば安定した収入源に育てられます。実際、SUZURIなどで月数万円~数十万円の副収入を得る例も増えています。

初期費用不要で始められるため、副業のリスクは極小、将来的には複数のプラットフォームや自社ブランドを育てて「経済的自由」を目指すことも夢ではありません。


これまで資金や流通の壁で諦めていたアイデアを、プリントオンデマンドなら現実にできます。あなたも自分だけのオリジナルTシャツでビジネスを始め、副業から独立・成功をめざす新時代のクリエイターになれる可能性を秘めています。

 
 
 

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
bottom of page