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『古古古米』はエサ米?価格変動・安全性・そして食卓への影響を徹底解説

  • 執筆者の写真: Renta
    Renta
  • 5月31日
  • 読了時間: 14分

更新日:6月2日

近年、日本の米市場は未曾有の価格高騰に直面しており、これは単なる経済的変動に留まらず、国民の生存基盤を揺るがす深刻な事態を招いている。この価格上昇は一般国民(消費者)の家計を直接的に圧迫し、2025年1月には米類の消費者物価指数が前年同月比で70.9%もの上昇を記録した。関東銘柄米のスポット取引価格に至っては、前年比で約3倍に達するという異常事態が発生し、1973年のオイルショック時のトイレットペーパー騒動になぞらえ、「令和のコメ騒動」とまで称されるに至っている。

このような市場の混乱と消費者の強い不満に対し、政府は価格抑制策として国家備蓄米の市場放出を決定した。新しく任命した小泉進次郎農水相は、この備蓄米を5kgあたり2000円台で店頭に並べるという具体的な目標を掲げ、その実現のために従来の競争入札方式から随意契約方式への切り替えを推進した。これに対し、アイリスオーヤマやイオン、ドンキホーテやコンビニ、さらにはAmazon楽天などの大手小売業者がこの随意契約に応じ、2025年6月上旬からの販売開始を目指していると報じられている。


しかし、この政府による価格介入は、短期的な対症療法に過ぎない可能性が指摘されている。国内のコメ生産体制、特に長年にわたる減反政策に根本的な変化がない限り、現在の価格高騰の構造的問題は解決されず、備蓄米が市場から枯渇すれば、再び価格が上昇する可能性が高いと専門家は分析している。これは、政府の政策が市場原理への直接介入という異例の「苦肉の策」であり、市場の機能不全を政府が認識し、緊急的に消費者物価の抑制を図ろうとする姿勢の表れである。

つまり、根本的な問題を解決するものではないため、長期的な価格安定には繋がらないことは明らかである。この短期的な価格抑制策は、国民の不満を一時的に和らげる効果はあるものの、根本的な食料安全保障や農業の持続可能性といった、より大きな、そして複雑な問題から国民の目をそらす可能性、あるいは自民党の票稼ぎと言った嫌らしさすらはらんでいる。


本稿は、表面的な米価格の変動と政府の市場介入の背後にある「古古古米」の正確な定義、その食用としての安全性、そして政府の政策決定の真の意図と国民への多岐にわたる影響について、多角的な視点から深く掘り下げて分析する。特に、国民が抱く「絶対に知っておかなければならない裏事情」という疑念や、「カビによる健康被害」という具体的な懸念について、科学的根拠と政策的側面から厳密に検証し、その実態を明らかにする。


国民の皆さんが「古古古米」について抱いている疑問や不安、そして政府の動きへの不信感は、もっともだと思います。報道だけでは見えてこない、お米の値段や安全性を見ていきましょう。


『古古古米』はエサ米

目次



  1. 異常な米の値段!なぜ今「古古古米」が出てきたのか?

最近、スーパーでお米の値段を見て驚きの毎日の人も多いのではないでしょうか?2024年8月頃から、お米の値段がグングンと上がっています。特に、去年や一昨年の古いお米(古米、古古米)が足りなくなり、新しいお米(新米)ばかりになったせいで、値段が跳ね上がったんです。

例えば、2025年1月には、お米の値段が去年より70%以上も高くなっています。関東地方のお米に至っては、前の年と比べて3倍近くになっているところも。これは、1973年のオイルショックでトイレットペーパーが奪い合いになった時と同じくらい、異常な事態。まさに「令和のコメ騒動」とまで言われるほどです。


この状況に、政府は「何とかしなければ」と、国が持っているお米(国家備蓄米)を市場に出すことを決めました。小泉進次郎農水大臣は、「5kgあたり2,000円台で売れるようにする!」と目標を掲げ、普通は競売で売るところを、大手スーパーなどに直接売る「随意契約」という方法を使い始めました。数々の大手企業が、「これは稼げるチャンスだ」と言わんばかりに契約を申し込み、各社2025年6月には2000円台で売り出すと発表しています(ネット販売含め)。


でも、ちょっと待ってください。この政府のやり方、本当に私たちにとって良いことなのでしょうか?専門家は、「この備蓄米を売るのは、一時的なしのぎに過ぎない」と指摘しています。なぜなら、日本のお米作りには長年続いてきた「減反政策」という根本的な問題があるからです。この政策を変えない限り、備蓄米がなくなれば、またお米の値段は上がってしまうだろう、という見方が強いのです。今回の「古古古米」の放出は、言ってしまえば売れ残った「在庫一掃セール」のようなモノ、その裏にはもっと複雑な事情が隠されています。私たちは、このお米が本当に安全なのか、そして政府の政策が本当に国民のためになっているのか、深く考える必要があります。


在庫一掃セールと書かれた備蓄米の販売

  1. 「古古古米」って何?家畜用のエサ米?

「古古古米」と聞くと、なんだか古くて大丈夫?と思ってしまいますよね。


古米、古古米、古古古米…古いお米って食べられるの?

  • 古米(こまい): 前の年に収穫されたお米

  • 古古米(ここまい): 2年前に収穫されたお米

  • 古古古米(ここここまい): 3年前に収穫されたお米

というように、収穫から何年経ったかで呼び方が変わります。5年前のお米なら「古古古古古米」なんていう呼び方になります。古いお米だからといって、すぐに食べられないわけではありません。きちんと保存されていれば、5年前のお米でも美味しく食べられます。

ただし、カビが生えていたり、虫が湧いていたり、変な匂いがする場合は、絶対に食べてはいけません。お米は周りの匂いを吸いやすいので、保存場所には最大限の注意が必要なんです。


「食べるお米」と「エサになるお米」は全くの別物!

今回の騒動で「エサ米」という言葉も飛び交っていますが、「食べるお米(食用米)」と「家畜のエサになるお米(飼料用米)」は、全くの別物です。

項目

食用米

飼料用米

目的

私たちが美味しく食べるため

家畜が効率よく育つため

育て方

土や水の管理、病害虫対策を徹底

たくさん収穫できることを重視、管理は緩やか

品種

味や見た目、日持ちが良いもの

早く育ち、たくさん穫れるもの

値段

高い

食用米に比べてかなり安い

政府の補助

なし

あり(農家にお金が出る)


食用米は、味や見た目、安全性に徹底的にこだわって作られます。一方、飼料用米は、家畜の栄養になることを一番に考え、大量に安く作ることに特化しています。政府が補助金を出して、農家が飼料用米を作りやすくしている側面もあります。


  1. 国の備蓄米は「エサ米」になる運命だった?

日本には、災害や不作に備えて、国がお米を買い上げて蓄えておく制度があります。この備蓄米は、通常5年経つと「5年持越米」として、家畜のエサなどに使われることになっています。これは、お米の品質を保てる期間を考えて決められたルールです。

今回の「古古古米」は、ちょうどその「5年経ったらエサになる」という話と重なり、国民民主党の玉木代表が国会で「1年たったら家畜の餌に出すようなもの」と発言し、賛否を呼びました。しかし今回放出されるお米は、もともとエサ用に作られた不味いお米という訳ではありません。

今回放出される「古古古米」は、本来食用として作られ、適切に保管されてきたものです。5年経てば飼料用になるというルールがあるのは事実ですが、それはあくまで計画的な処理の話であり、今回の放出が「廃棄寸前のエサ米を無理やり売っている」ということではありません。



政治家の発言は、複雑な制度を簡単に言い換えることで、本来の意図とは違う形で伝わってしまうこともあるのです。私たちはどんな情報も鵜呑みにせず、その裏にある真実を見極める目を持つことが大切です。


  1. 「エサ米」発言の波紋と政府の奇策の狙い

玉木代表の「エサ米」発言は、まさにお米を食べる私たちにとって、一部の人には不安を煽るものだったかもしれません。しかし、「1年たったら家畜の餌に出すようなもの」発言は、紛れもない事実であることも理解しておかなければなりません。


玉木代表の「エサ米」発言の真意は?

玉木代表が「1年たったら家畜の餌に出すようなもの」と言ったのは、2021年産のお米(今回の「古古古米」にあたるもの)が、まもなく備蓄期間の5年を迎え、計画上は飼料用に回される予定だったことを指しています。彼は、「そんなお米を安く売っても、本当に求めている銘柄米の値段は下がらないだろう」という意図で発言したとも言われています。

しかしこの発言は、国民の食卓に並ぶお米への不信感を招き、小泉農水大臣をはじめ、他の政治家からも「不適切な言葉だ」と批判されました。玉木代表自身も釈明に追われることになりました。


小泉農水大臣の「5kg 2000円台」はすごいこと?

小泉農水大臣が「備蓄米を5kg 2000円台で店頭に並べたい」と目標を打ち出し、専門チームまで作ったことは、確かに目立ちました。そして、国が業者に直接お米を売る「随意契約」という方法を取ったのは、異例の「奇策」とも言えます。これにより、通常なら手間のかかる流通ルートを通さず、大手スーパーなどがすぐに安くお米を売れるようになりました。


しかし、冷静に考えてみましょう。来年には家畜の餌になるはずだったお米を、安く売るのが「すごいこと」なのでしょうか?私たち、少なくとも私の目には、これは「売れ残りの在庫処分セール」にしか見えません。それをあたかも政府や小泉大臣の素晴らしい手腕で「お米の値段を下げた!」と報じるマスメディアの姿勢には、疑問を抱かざるを得ません。まるで、政府が自民党の票集めや株上げのために、この騒動を利用しているようさえ見えてしまいます。


カビ毒が発生した古古古米

  1. 「古古古米」の安全性は?カビ毒の本当の怖さ

「古いお米」と聞いて、一番心配になるのは「カビ」ではないでしょうか?


カビが生えたお米は危険?カビ毒

お米は、じめじめした場所で長く置いておくと、カビが生えたり虫が湧いたりします。カビは、お米の見た目を悪くするだけでなく、味や匂いも台無しにし、最終的には腐らせてしまいます。さらに怖いのは、一部のカビが「カビ毒(マイコトキシン)」という有害な物質を作ることです。カビ毒は、人間や動物の健康に悪影響を及ぼす毒素のことで、お米の産地の気候や環境によって、発生したりしなかったり、その量も変わってきます。


特に注意したいカビ毒の種類と危険性

カビ毒の種類

どこにいるか

汚染されやすい食品

症状の例

アフラトキシン

カビの一種

米、とうもろこし、ピーナッツなど

がん、肝臓の病気など(非常に強い毒性)

デオキシニバレノール (DON)

カビの一種

米、麦など

吐き気、食欲不振、免疫機能の低下など

ニバレノール (NIV)

カビの一種

米、麦など

吐き気、食欲不振、免疫機能の低下など

オクラトキシンA

カビの一種

小麦、大麦、コーヒーなど

腎臓の病気、がん(動物実験で確認)


恐ろしいことに、これらのカビ毒の多くは、熱に非常に強いという性質を持っています。つまり、カビ毒に汚染されたお米を炊いたり調理したりしても、毒性がほとんどなくならないのです。一度カビ毒に汚染されてしまったら、それを取り除くのは非常に難しいので、お米を収穫したり保存したりする段階で、カビが生えないようにすることが何よりも大切なのです。


日本の食品安全対策は厳しくなっているが…

日本には、食品の安全を守るための厳しい法律やルールがあります。特に、2008年に「事故米事件」という、汚染されたお米が食用として流通してしまった大きな問題が起きてからは、食品安全委員会という機関が、カビ毒などの危険な物質について徹底的に調べています。


例えば、食品衛生法では、アフラトキシンというカビ毒が1kgあたり10μgを超えて含まれているお米は、販売してはいけないと明確に決められています。また、食用には適さないお米を飼料用として売る場合も、農林水産省が厳格な安全確認の手続きを義務付けており、カビ毒の検査も含まれています。さらに、飼料用として売ったお米が、間違って食用として流通しないよう、厳しく管理することも求められています。

しかし、法律やルールがあるからといって、全てが完璧なわけではありません。事故米事件をきっかけに作られた「米トレーサビリティ法」という、お米の流通経路を追跡できる法律があるにもかかわらず、過去には海外産のお米を「国産」と偽って売るような悪質な事例も確認されています。


今回の「古古古米」の放出では、政府が直接大手業者に売るという新しい流通経路ができています。この新しい経路で、本当にきちんと安全管理がされているのか、偽装や不適切な管理が起こらないか、私たちは目を光らせ続ける必要があります。「カビが生えた古古古米が流出し、消費者が体を壊す」という不安は、単なる心配ではなく、過去の経験や、制度があっても不正が起こりうるという私たちの不信感から生まれているのです。政府や業者には、単に「安全です」と言うだけでなく、なぜ安全なのか、どう管理しているのかを、私たちにきちんと説明する責任があります。


  1. 食卓と未来〜安心してお米を食べられるには

今回の「米騒動」は、私たちの日々の食卓に直結する問題です。

消費者の本音「安いだけじゃダメ!安全で美味しいお米が食べたい!」

政府が安く備蓄米を出すことに対して、家計が苦しい私たちは「助かる」と感じる一方で、「本当に大丈夫なの?」という不安も抱いています。とある調査では、私たちがお米を買う時に重視するのは、「国産」と「おいしさ」が大多数となっています。単に安いだけでなく、安全で美味しいお米を求めているのです。だからこそ、「古いお米は味が落ちる」というイメージや、玉木代表の「エサ米」発言は、私たちに品質や安全性への疑念を抱かせてしまいました。


政府がどんなに安くお米を供給しても、私たちがその品質や安全性に不安を感じ続ければ、安心して買うことはできません。しかし現実的に、本当は不安がありながらも買わざるをえないのが、今の消費者の現状です。

過去の食品偽装事件の経験から、私たちの不信感は根強く残っています。政府や流通業者には、年産や保管状況、品質検査の結果などを、もっと分かりやすく、透明性高く公開することも求められています。


根本的な問題は「減反政策」?食料の未来を考えよう

専門家は、今回の備蓄米放出で一時的に値段が下がったとしても、備蓄米がなくなればまたお米の値段は元に戻ってしまうと予想しています。そして、このお米の値段が高止まりする一番の原因は、長年続いてきた「減反政策」にあると強く指摘されています。

減反政策は、お米を作りすぎないようにして値段を安定させる目的で始まりましたが、結果的に日本のお米を作る力を弱め、異常気象などで不作になると、すぐに市場が混乱するもろい構造を作ってしまいました。

今回の小泉農水大臣の政策は、目先の値段を下げるだけでなく、実は「減反政策が問題なんだ」という世論を作り出し、日本の農業の根本的な改革を進めたいという政治的な狙いもあると言われています。これは、お米の問題が食料を自分たちで作る力(食料自給率)、農家さんの暮らし、そして私たちが安くお米を食べられること、という様々な目標が絡み合った、非常に複雑な問題であることを示しているのです。


美味しそうに米を食べる日本の家族

  1. 結論:私たちにできる事と政府に求めること

今回の「古古古米」をめぐる騒動は、単にお米の値段が上がっただけでなく、私たちの食の安全、そして日本の農業の未来について、深く考えるきっかけを与えてくれます。

「カビが生えた古古古米が流出して、消費者が体を壊す」という不安は、過去の苦い経験や、政府への不信感からくる、私たち国民の切実な声です。この不安が現実にならないよう、私たち一人ひとりが、そして政府や企業が、具体的な行動を起こすことが求められています。


私たち消費者にできること

  • 表示をしっかり確認する

    安いお米を買う時こそ、産地、年産、精米された日などをよく見て、信頼できるお店で買いましょう。

  • 正しい保存方法で

    買ってきたお米は、高温多湿を避け、密閉できる容器に入れて保存し、カビや虫が湧かないようにしましょう。

  • おかしいと思ったら食べない

    カビが生えていたり、変な匂いがする、変色しているなど、少しでも異常を感じたら、もったいなくても絶対に食べないでください。

  • 「古いお米=危険」ではないと知る

    きちんと保管されていれば、古いお米でも美味しく食べられることを知っておきましょう。不必要に不安がる必要はありません。


政府に強く求めること

  • 情報公開の徹底

    今回放出される備蓄米が、どういう品質検査をクリアしているのか、どこでどう保管されていたのか、私たちに分かりやすく、そして隠し事なく教えてください。

  • 監視を強化し不正は許さない

    お米の偽装や不適切な販売を見つけたら、厳しく罰してください。特に、新しい流通ルートでも、安全管理が徹底されているか、目を光らせてください。

  • 「減反政策」を根本的に見直す

    目先の価格対策だけでなく、日本の農業の根本的な問題を解決するために、減反政策をどうするのか、真剣に議論し、持続可能な食料供給体制を築いてください。

  • 分かりやすい説明を

    政治家は、国民の不安を煽るような発言はやめて、科学的な根拠に基づいて、政策の意図や限界を丁寧に説明する責任を果たすべきです。


今回の「古古古米」騒動は、私たち国民が、日々の食卓を他人任せにせず、自分たちの手で守っていくことの重要性を教えてくれています。政府や企業には、単に「安全だ」と言うだけでなく、なぜ安全なのか、どんな仕組みで安全を守っているのかを、私たちに具体的に説明する責任があります。そして私たちもまた、疑問を持ち、声を上げていくことが大切です。

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