「古古古米」5kg83円が2000円に化ける!?国民に“お得”を装う日本政府の真意
- UNREASH
- 2 日前
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SNSで噴出した古古古米「5kg83円」の衝撃
先日の記事でも触れた「国家備蓄米」の市場放出ですが、その裏事情として 「5kg83円」 というショッキングな数字がSNSやネットで注目を集めています。これは一体どういう意味でしょうか?実は、一部の農家によると収穫から3年以上経ったお米(つまり古古古米)は、30kgあたり500円程度(=5kgあたり約83円)で家畜農家に引き取られる、いわば“処分価格”同然だったというのですkarasawanouki.co.jp。
つまり本来、人間の食用としては流通しないような低価格で処理されるはずのお米が、いま国の政策で5kg約2000円という25倍もの値段で**「お買い得品」**として店頭に並んでいる計算になります。この事実に、ネット上では驚きと怒りの声が噴出しました。「国民に安いお米をと言いながら、古い家畜用のお米で金儲けですか?」「日本政府、国民を馬鹿にしすぎ!」「この差額はいったい誰の懐に入るの?」といった具合です。
この「5kg83円」という数字を最初に公の場で指摘したのは、国民民主の玉木代表、そして立憲民主党の原口一博議員でしたjprime.jp。彼は5月末、自身のX(旧Twitter)で「家畜用だろう?古古古米。5kg83円のものが何故、2000円もするのか?誰と随意契約したのか?」と投稿し、政府が進める備蓄米放出の価格設定に疑問を呈したのです。
この発言は当初あまり大きく報じられませんでしたが、備蓄米の店頭販売が始まった6月初旬以降、一気に拡散されるようになりました。「83円のお米が2000円で売られている」という衝撃的な構図に、多くの消費者が「古い米で私たちから儲けようとしているのでは」と不信感を抱いたのです。
一方で政府・与党側は、「5kg83円」という表現はミスリードだと反論しています。小泉進次郎農水相は、原口議員の発言について「『人が食べるものではない』との指摘は事実と異なる」と強く遺憾の意を示しましたnikkansports.com。政府備蓄米は有事に主食用として供給できるよう、15℃以下・湿度60〜65%の倉庫で品質管理されており、人間が食べられない「エサ同然」の米ではないというのです。確かに、今回放出されたのは2019~2022年産のコメで、本来は十分食用基準を満たす備蓄米です。ただし、「5年経過で飼料用に回す」というルールがあるため、時期が来れば家畜の餌か廃棄処分になる予定だったお米で、5kg83円でもあります。
要するに、「品質管理された食用米で安全だ」という政府の言い分と、「そもそも人間には回さないはずだった古米だろう」という野党側の指摘は、どちらも一面の真実を含んでいます。このギャップこそが、今回の価格設定への不信感につながっているのです。
政府はなぜ「5kg2000円」にこだわる?随意契約のカラクリ
では、どうして政府は古古古米を**「5kgあたり2000円前後」という価格で売り出すことにしたのでしょうか?その背景には、政府主導の「随意契約」による販売スキームがあります。小泉農水相は5月下旬の会見で、「早ければ6月上旬にも備蓄米を5kg2000円程度で店頭に並べる」ことを目標に掲げました。実際、農林水産省が発表した随意契約の詳細では、年間1万トン以上取り扱う大手業者(スーパーやネット通販)を対象に、政府備蓄米(玄米)を60kgあたり税込11,556円で売り渡すとされています。これは5kgに換算すると約963円に相当し、流通・小売が適正な利益を乗せても店頭価格2000円程度に収まる水準**だというのですnewsdig.tbs.co.jp。
政府はこの価格設定によって、「来月には確実に5kg2000円で販売できる」と自信を示しました。一見すると、963円→2000円という差額は小売業者のマージン(流通コストや利益)として妥当にも思えます。事実、今回随意契約に応じたイオンや楽天などは「税込2000円台前半」での販売計画を打ち出し、包装コストや店舗運営費を考えれば極端な暴利ではないとの声もあります。店頭では「訳あり商品」「古米ブレンド」などと表示しつつ、「お買い得」「ご家庭応援」とPRしており、一連の流れ自体は一種のセールに近い体裁です。
とはいえ、本来なら税金で買い上げて倉庫で備えておいたはずの米に改めて値札を付け、それを私たち国民がお金を出して買っている状況であることに変わりはありません。極端に言えば、**「我々の税金で購入・保管した米を、再度我々がお金を払って買わされている」**構図でもあるのです。政府が今回放出した備蓄米は、有事備えとは別枠の“過剰在庫”であるとも説明されていますが、だからといって疑問が残らないわけではありません。

問題視されるポイントを整理すると次の通りです。
異常な価格差 – 古古古米は本来、飼料用などに5kgわずか83円程度で処分されてきた事実がある。それが一般消費者向けになる途端、一袋2000円に“化けた”ギャップ。
税金の二重払い感 – 備蓄米は国が税金で買い上げ保管していたもの。その“在庫一掃セール”に国民が再度お金を払うのは腑に落ちない、との指摘。
随意契約の不透明さ – 特定の大手業者にのみ安価で卸す仕組みであり、限られた流通経路で利益が生まれる構造になっている。どの業者とどんな契約を結んだのか詳細が見えにくい。
価格設定の恣意性 – 「5kg2000円」という値付け自体がどこまで適正なのか不明確。なぜもっと安くできないのか、農家にとって適正なのか、誰がどれだけ利益を得るのかが不明だとする声。
こうした点について政府は「緊急時対応として迅速性を優先した結果」と説明しています。通常の入札ではなく随意契約に踏み切ったのも、一日でも早く価格高騰を抑えるための異例の措置だというのが政府の立場です。しかし、その迅速さゆえに上記のような不透明さが生じ、「本当に消費者のための政策なのか?」という疑念を招いてしまっているのが現状と言えるでしょう。

“安いお米あります”に群がる消費者 – 政府の思惑と思わぬ反響
6月に入り、いよいよ全国各地の店頭で備蓄米の販売が始まりました。例えば大手スーパーのイオンでは、2022年産の古古米5kgを税込2138円で販売開始sun-tv.co.jp。この価格は農水省公表の直近全国平均のほぼ半額という触れ込みで、まさに「破格の安さ」です。大阪市内の店舗では朝から1000人以上もの行列ができ、開店前に配布された整理券が即配布終了となる盛況ぶりとされています。店頭には山積みにされた真っ白な米袋のタワーが並び、法被を着た店員たちが威勢よく袋を手渡す光景は、まるで特売セールの祭りのようです。実際、初日は一店舗で数千袋が飛ぶように売れ、「1家族1袋まで」の制限が設けられるほどの人気となりました。
消費者からすれば、「2000円ちょっとでお米が買えるなんて助かる!」という切実な思いが行列という形で現れたと言えるでしょう。一時は5kgあたり5000円を超える異常事態だったことを思えば、半額の2000円台という価格は魅力的に映りますし、「備蓄米放出」という政府の動きも大々的にニュースで報じられたため安心感・お得感も相まって飛びつくのは無理もありません。実際、「政府が動いてくれたおかげで助かった」「小泉さんのおかげで米騒動が少し落ち着いた」といった声もSNS上には見られ、急場の消費者対策として一定の効果をあげたのは間違いありません。
しかし、その**「安く買えてラッキー!」という国民の安堵感こそ、政府・与党の狙いだったのではないか――そんな見方があるのも事実です。備蓄米の緊急放出は確かに価格高騰への即効薬となりましたが、裏を返せば“見せ方次第”で国民の受け止め方はいかようにも変えられることを示したとも言えます。本来なら廃棄同然か加工用・家畜用になるはずだったお米を、「非常時だから放出します!」と英断のごとくPRし、しかも市場価格よりは安い値段で提供すれば、人々は一応に感謝するでしょう。まさに今回、多くの消費者は「とりあえず今の出費が減るならありがたい」**と飛びつきました。しかしその陰で、一部のユーザーが指摘するように「古い米を処分して在庫整理できる上に、国民からお金も取れて政府の株も上がる。一石三鳥では?」という構図が出来上がっている可能性も否めないのです。

選挙目前に票狙いのパフォーマンス?与野党の攻防
今回の備蓄米放出劇を巡っては、政治的思惑も色濃く漂います。実はこのタイミング、重要な選挙を目前に控えた時期でもあります。夏には国政選挙(参議院選挙)が予定されており、与党・自民党にとって物価高対策は喫緊の課題でした。米価高騰という国民生活に直結する問題に手を打てないままでは、選挙戦で厳しい批判を浴びるのは確実です。そこで小泉進次郎氏を新農水相に据え、電撃的に備蓄米放出を決定したことは、政権にとって“政治的リスクの火消し”という側面があったと考えられます。現に、ある世論調査では備蓄米の迅速な放出と価格引き下げが評価され、内閣支持率がわずかながら上昇に転じたとの報道もありました。政府・与党内には「米価対策で一定のアピールができた」という安堵感が広がっているようです。
一方、野党側はこの“与党の手柄”に待ったをかけようと躍起になっています。前述の玉木雄一郎国民民主党代表の「1年経てば家畜のエサ」発言もそうですが、野党議員たちはこぞって政府の備蓄米政策を批判しました。玉木氏は「そんな古いお米をいくら出しても、結局みんなが欲しいコシヒカリなどの銘柄米の値段は下がらないだろう」と指摘し、今回の放出策が根本解決にならない点を強調しました。
また立憲民主党の原口氏の「5kg83円」指摘に続き、他の野党議員やネット上でも「一時しのぎのバラマキではないか」「結局、備蓄米が尽きたらまた値上がりするのでは?」との批判が出ています。野党にすれば、与党が**「苦肉の策をさも成果かのようにアピールして票稼ぎしている」ように見えるわけで、ここぞとばかりに政府の“ご都合主義”を攻め立てたい構えです。
実際、小泉農水相は野党から「なぜ随意契約を特定企業と結んだのか**」「この放出で何ヶ月持つのか」といった追及を受けています。与党としては緊急措置ゆえと正当化しつつも、図らずも選挙前のパフォーマンスとの見方を払拭するのに苦心しているようです。
ただし、野党の側にも難しいジレンマがあります。物価高に苦しむ国民感情としては、「安くお米が買えるようにしてくれた」政府の動きは歓迎ムードが強いのも事実です。そこへ水を差すように「古い米だから危ない」「政府が利権を得ている」などと訴えても、受け手によっては(特に思考停止の老人たち)**「じゃあ高いまま放置しておけと言うのか?」**と逆効果になりかねません。玉木代表の発言が「消費者の不安を煽った」「風評被害を生む」と与党や農水省から猛反発を受けたのも、まさにその微妙な世論のさじ加減ゆえでしょう。野党としては政府の“姑息さ”を暴きたい半面、あまりにネガティブな印象を与えると国民の反発も買うという難しい綱渡りです。

本当の課題はこれから – 国民は何を注視すべきか
今回の「古古古米騒動」は、短期的には私たち消費者の懐を直撃する米価高騰を緩和してくれました。しかし、その場しのぎの劇薬のような政策の陰で、本質的な問題は何一つ解決していないことを忘れてはいけません。米価高騰の背景には、前述した記事でも述べた通り長年の減反政策やコメ需要の減少と生産調整の歪みといった構造的課題があります。備蓄米の大量放出で市場価格が一時的に落ち着いても、備蓄が底を突けば再び価格は跳ね上がる可能性が高いと専門家も警鐘を鳴らしています。政府内でも「このままでは備蓄米が今年中にも空になりかねない」という懸念があり、**100万トンあった備蓄の3割(30万トン)**が一気に市場に流れたことで、今後の食糧安全保障への不安もささやかれています。もし来年以降に天候不順や災害(南海トラフ等)、国際情勢(台湾有事等)の悪化など本当の有事が起きたらどうするのか――。備蓄を切り崩したツケが将来回ってくるリスクも孕んでいるのです。
消費者としては、目先の安さに飛びつきつつも「この状況がいつまで続くのか?」と冷静に見極める目が必要です。政府には引き続き透明性ある情報公開と、安全・品質管理の徹底を求めていかねばなりません(今の政府には無理でしょうが)。今回の随意契約に関しても、契約先企業や放出米の品質検査結果、流通経路の監視などをしっかりチェックし、不正や混乱が生じないよう監視を強める必要があります。「古古古米を食べても大丈夫なの?」という不安も根強いですが、幸い現時点でカビ毒汚染などの報告はなく、日本の食品安全基準もしっかり機能しています。政府も「安全です」と胸を張るなら、科学的データをもって説明責任を果たすべきですし、私たちも過度に恐れることなく事実関係を注視すべきでしょう。
最後に、今回の出来事は私たち国民が政治のアピールと本当の解決策を見分ける目を養う重要性を浮き彫りにしました。古古古米が一時的に安く手に入ったからといって、それで万事解決ではありません。この先も安心してご飯を食べ続けるためには、農業政策の見直しや持続可能な生産体制の構築といった根本策が欠かせないのです。政府が打つ一手一手の裏側にどんな狙いがあるのか、野党の指摘が的を射ているのか、それらを鵜呑みにせず多角的に検証することこそ、私たち有権者に課された責務と言えるでしょう。
「5kg83円が2000円」というインパクトに踊らされず、そして一時の安さに油断せず、引き続き私たち自身がお米と政治の動きを見守っていくことが大切です。そしていざ選挙の時には、この“令和のコメ騒動”から得た学びをもとに、自分たちの一票を託す先を冷静に選びたいものですね。
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