Patreonでの日本アニメ風AI生成画像収益化に関する調査まとめ
- ニカ

- 11月11日
- 読了時間: 5分
1. 著作権法上の違法性と摘発事例
著作権侵害の可能性: 日本の著作権法では、著作者の許諾なく他社のアニメキャラクターやデザインを模倣した絵(ファンアート)を公開・頒布する行為は原則として著作権侵害に当たる。たとえ個人利用の範囲であっても、インターネット上で不特定多数に公開すれば私的使用の例外を超え、著作権侵害となる。Patreonでの収益化は明らかに商業利用にあたるため、無許諾で行えば法的に違法である。
国内の摘発例: 実際に、日本国内で無許諾同人誌が問題化した事件がある。1999年には『ポケモン』キャラを使用した成人向け同人誌を頒布していた女性が著作権法違反(複製権侵害)で逮捕されているwiki.xn--rckteqa2e.com。この例のように、無許諾のファン作品を販売すれば検挙される可能性がある(稀だが)。
国外サイト利用のリスク: Patreonのような海外サイトを使っていても、日本人クリエイターが日本市場向けにコンテンツを流通させれば日本法の適用対象となりうる。海外発信だからといって自動的に安全とは言えない。例えば、モザイクなしアダルト動画を海外サイトに投稿して逮捕された事例が増えており、著作権侵害の場合も権利者が訴えれば摘発の可能性が残る。現時点でPatreon特有の摘発例は報告されていないが、理論上は違法となることに留意が必要である。

2. Patreonコンテンツガイドラインとアニメ系表現
成人コンテンツの取扱い: Patreonでは性的なコンテンツを投稿する場合、ページを「成人/18歳以上」に設定する必要がある。公開プロフィールやバナーなど一般公開領域には、アニメ・実写を問わずいかなる性的表現も掲載できないpatreon.com。そのため、ヌードや性行為を描いた作品は有料会員限定ページに掲載しなければならない。
実写ポルノの禁止: ガイドラインでは、実写のポルノグラフィック(性交や性器の露出を直接描写する行為)は投稿禁止と明記されている。たとえば、性器同士の接触や挿入などを描いた映像・画像はNGである。
アニメ・イラスト表現の許可: 一方、アニメやイラストによる性的描写(いわゆる「エロ絵」「ヌード」)は、他のガイドラインに抵触しない限り成人ページであれば許容されている。実際、Patreonガイドラインは「アニメ描写にかかわらず性的表現を含む素材やヌード」は成人ページに掲載できるとしており、いわゆる「エロマンガ・アダルトアニメ」に相当するコンテンツも条件付きで掲載可能である。日本国内のようなモザイク義務はPatreon側には存在せず、クリエイター自身の判断で表現できる。
禁止事項 – 未成年・強制: Patreonは児童ポルノ(実写・アニメ問わず)に対しては厳格なゼロ・トレランスポリシーを採用し、性的な未成年描写は一切禁止する。さらに、無理矢理・暴力的な性的描写や近親相姦なども禁止項目に含まれる(暴力的性的行為も非推奨)。これらを含むコンテンツは厳しく排除される。
年齢制限: クリエイターや閲覧者は成人である必要がある。Patreonでは、成人向けコンテンツを投稿・購読するには18歳以上であることが求められている。未成年(13歳未満)の利用はそもそも禁止で、18歳未満は保護者の同意が必要である。
3. 米国(Patreon本社国)での成人アニメと日本法の対比
Patreon/米国での扱い: Patreon本社のある米国では、成人向けのポルノ表現は基本的に合法とされ、検閲の仕組みもない。Patreonガイドラインもアニメ・イラストを含む成人向け作品を容認しており、実写でないアダルトコンテンツであれば広く表現の自由の範囲と見なされる。したがって、米国側の規制は日本より寛容で、海外サービス上であれば無修正のアダルトアニメ画像も投稿可能である。
日本のわいせつ規制: 一方、日本の刑法175条(わいせつ物頒布等罪)は、性器の露出や性交の露骨な描写などを「わいせつ」と定め、その頒布・公然陳列を禁じている。裁判例上、モザイクなしで性器や性交を描いた映像・画像はほぼ例外なく「わいせつ物」と判断される。この法律は電磁的記録(デジタルデータ)にも適用され、最高裁判例ではインターネット上のアップロードも「頒布」に当たると認められている。
Patreonと日本法の関係: したがって、Patreon上で日本人クリエイターが無修正(モザイクなし)の成人向け画像を公開し、日本国内向けに配信していれば、日本のわいせつ規制に抵触する可能性が高い。実際、過去に日本人が無修正アダルト動画を海外サイトにアップロードして逮捕された事例が相次いでいる。同様の理屈で、アニメやイラストであっても無修正で過激な性表現を含むものは日本法上「わいせつ物頒布等罪」に問われうる。ただし、Patreonは米国基準で運営されており日本のモザイク基準は適用されないため、あくまで投稿者自身のリスクとなる。
4. PixivからPatreonへの誘導と限定コンテンツの傾向
Pixiv主体で有料誘導: 多くのイラスト投稿者は、まずPixivで無料の作品やサンプルを公開し、Patreonや国内サービス(PixivFANBOX、Fantiaなど)に誘導して有料会員限定コンテンツを提供する形態をとっている。あるブログでは「無料で楽しむ場所=Pixiv、有料で応援する場所=FANBOX(Patreon)」というファン心理が確立されていると指摘されており、クリエイターもこの流れを重視している。実際、Pixiv投稿者がPatreonアカウントを開設し、限定イラストやボイスチャットなどで課金支援を募る事例が散見される。
AI作品とサービス規制: 近年、特にAI生成イラストを手がけるクリエイターの間では、PixivFANBOXやFantiaがAI作品を禁止したこともあって、Patreonへ移行するケースが増えているnote.com。「PixivFANBOXはAI生成コンテンツ投稿を禁止している」と報告されており、国内サービスで収益化できないクリエイターがPatreonを選ぶ理由となっている。
実態の概観: 正確な利用者数は公開されていないが、Pixivでフォロワーを集めてPatreonやFanboxでマネタイズする流れは2024–25年にかけて急増していると見られる。R-18イラストの場合、Patreon経由で海外ファンからの支援も得られる点がメリットとされ、国内ファンだけでなく世界市場も視野に入れた活動が進む。



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